61aL1irqt7L__SX351_BO1,204,203,200_

ひりひりする小説が好きだ。
葉太はお坊ちゃまだ。
自意識過剰だと一言で言えばすんでしまいそうだけどそんな悩みを抱えてきた。
子供の頃祖父の葬儀で祖父の亡霊が見えてそれが恐くて泣いたのが父にはいい孫を演じているかのように取られる。
父とて作家として演じてきたのだ。

時々演じていると感じる瞬間がある。
それをどこからか見ているもう一人の自分。
そのひりひりとする感覚が嫌いではない。
物事には超えてはいけないラインがある。
浮かれているとつい調子に乗ってしまう。
出しゃばらず卑屈にならずがいい。
だから相手が演じている時はあえて気付かないようにしている。
それを指摘されるのが何よりも恥ずかしいわたしだから。

父の遺産でニューヨークに旅立った葉太。
大好きな作家の新刊「舞台」をセントラルパークで寝転んで読みたいと思っていた。
それは叶わなかったけれど病床で父が読んでいた「地球の歩き方」をなぞって歩いていた。

出かける時には文庫本を一冊リュックに入れる。
老眼になってからは三種類の眼鏡が必要になった。
運転用(お出かけ用)に仕事用(パソコン用)に読書用。
そのために三種類持ち歩くのも面倒だから文庫本はお守りになりつつある。
無事に帰路に着いてから読むのだから持ち歩かなくてもいいと思いながらも10代の頃からの習慣はやめられない。

本屋さんにサラバ!の文庫本が平積みされていた。
もう一度読みたいしずっと手元に置きたい。
記念日に買っちゃおう。