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本を読みながら以前の職場のそばにあった大学病院の院内カフェを思い出した。
中抜けの土曜の昼下がりはそこでお茶をした。
街中にあるカフェと一緒のはずなのに閑散としていてお気に入りの場所だった。
ロビーの一角に作られたカフェスペースには仕切るものはない。
日常と医療の境。
スタッフは淡々とマニュアルどうりに接客していた。
誰に対しても平等でそ知らぬふりに救われた人もいたはずだ。

院内の喫茶店といえば昔は地下の迷路のような先にあった。
地下の主のようなママさんがいて、あくまでも病院の続きのような空間だったけれどその扉の向こうで付き添いのわたしは癒された。
そこでコーヒーを飲みながら雑誌を読み息がつけたのだ。
声を出せなくなっても祖母はわたしが手を貸すたびに震えながら手を合わせた。
病人はわがままでよかったのに・・・。

義父のときは院内に自販機しかなかったので車椅子で近くの喫茶店によく連れ出した。
ホットミルクに砂糖を三杯入れておいしそうに飲んでいた。

院内カフェはただそこにあるだけでいい。
本日のコーヒーに今月の新作フラペチーノ。
身体にいいかどうかは別にしてそこに集まるちょっとおかしな人の一員になるのも悪くない。