10ヶ月待ちに待った本が図書館から廻ってきた。
どうしても覚えられなかった題名が今やすらすら出てくる。

多崎(たざき)作(つくる)少年は名古屋市郊外の公立高校生だったときに5人の仲間と出会う。
(名古屋市郊外とは名古屋市内の文教地区を言うのかそれとも市外を言うのかどちらも限定しないのか。
名古屋人であり三人の子供たちを公立高校に通わせた母としてはリアルに想像できるのでそんなことにまでひっかかりながら読んでしまった。)
彼以外はそれぞれに苗字に色の字がついていて他の四人は色でつくるだけはそのままつくると呼ばれていた。
四人は地元の大学に進学したけれどつくるだけは大好きな駅の勉強したいと東京の大学に進学する。
大学二年の夏休みまでは頻繁に帰省し交流は続いていたけれどある日を境につくるは仲間から拒絶される。

なぜなのか、わからないまま三十代半ば。
事実はどうであれ歴史は消すことも、作りかえることもできない。
それでも少しづつ改ざんされていく。

拒絶されるのは悲しい。
身近であればあるほど信頼していればしているほど痛手は大きい。
きっと理由はある。
もしかしたら知らず知らずに相手を傷つけていたのかもしれない。
それでも立ち上がるためにあえて封印したところで時々チクリと心を刺す。
今更と思っても大切な思い出であればあるほどそれに向き合う時がいつかは訪れる。
そしてそれぞれの色に会いに行くのだがすでに一人はこの世にいない。

そしてそのきっかけを作ってくれた彼女と新たな関係を作れるかどうか。
やきもきさせながらも最後はやっぱり春樹流のつづく・・・。
落ち着き場所に辿り着いたとしても人との関係は変化していく。
むしろ変わらないほうが不自然だ。
進む方向もスピードも。

色を持たない生き方も悪くはない。
色がないからこそ変化にこだわりもない。
色のある人にわくわくできる。
巡礼にはまだ早い。

♪ラウンド・ミッドナイト