二十代後半、わたしは妊婦だった。
三年身籠るというお話があったけれどわたしも三年身ごもっていた。
その三年は肉体的にはつわりで最悪な日々だったけれど子宮が温かくてそこに存在しているそのことがとても嬉しかった。
ずっとそこにいて欲しいと思うと同時に待ってるから早く出ておいでと願っていた。

妊婦さんはそれだけで立派だ。
すごい偉業を成し遂げている。
わがまま放題に難しいことを考えずのんびりと過ごして欲しい。
力を蓄えその時を待つ。
雄叫びをあげ動物でまさに哺乳類なのだときっと感じる。
もちろん過ぎてしまえばその痛みをけろっと忘れまた人間に女に戻っていくのだけれど。

もうすぐ「つるかめ助産院」というドラマが始まる。
小川糸さんの原作に出てくるパクチー嬢が好きだった。

産むか産まないかは自分で決めればいい。
子供を欲しいと願うこともまた同様に。
結婚してもしなくてもいい時代になったのにそこはまだタブーな領域だ。
いつの時代も哀しむのは女の方で好き勝手に責められるのもまた女の方だ。
そしてそれを口にするのもまた女だから厄介だ。

そしてその後もがんじがらめな考えに縛られることもない。
頭で考えずに心と体がやさしくやわらかくうれしいことを選んでいけばいい。
なんとかなるのだから。

育む人。
いい言葉だなあ。