老夫婦の日常を追ったドキュメンタリー映画
夫の趣味はコタツでのお昼寝。
妻は起さないように静かにお茶を飲む。
会話はなくても茶の間で二人でいることが幸せな時間なのだ。
そして毎月一泊二日で温泉に出掛ける。
同じ食堂に立ち寄り同じ会話をする。
一緒にいられることが幸せだと。

年は過ぎ妻は認知症を夫は癌をわずらう。
妻は施設に入所し夫は入院。
それでも時々二人は一緒にいられる外泊を楽しみにしている。

二人を見守る看護師の娘と撮影の孫娘。
ちゃきちゃきな娘は心配で父をしかるが母はつぶやく。
「年寄りにがみがみ言うもんじゃない。」

老老介護と言われるようになって久しいが最近は認認介護と言われている。
入院しても二週間で退院調整をしなくてはいけない現状。
健康保険と介護保険がシンクロし複雑化している。
手続きなどのわかりにくさを老夫婦が理解することは難しい。

遺された妻。
認知症でも夫が先立ったことはわかっている。
ただその悲しみを乗り越えるために認知症になったのだとしたら救われる。


同時に上映されたもう一本のカヲリの椅子のロケ地は円頓寺商店街。
偶然にも映画をみるまでに時間がたっぷりあったのでずっと気になっていた四間道界隈を散歩する。
古い町並みと最近の家が共存する空間。
そこで見つけたカフェ「pas a pas(ぱざぱ)」でブルーローズのコーヒーカップでおいしい珈琲とガレットをいただく。
わたしの幸せな時間はそんなお気に入りに出会うことだ。

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名駅経済新聞より