あまり期待せずに観た映画が思いのほか良かった。
原作とはちょっと設定が違うけれど心情がうんとわかりやすくて面白かった。
脚本家でもある岩田ユキ監督にこれからも注目したい。

スケートリンクで頭を強打して記憶をなくしたテルヒコ。
救急車で運ばれた病院で連絡先を聞かれ記憶の中の携帯の番号を言う。
夢と現実と願望と失望が交差する。
カバンの中には結婚指輪。
誰と結婚しようとしたのか思い出せない。

女医さんはなんと亜土ちゃん。
判るのは同世代だけかな。
両手でひょひょっとカルテを書く。
いつまでも変わらない亜土ちゃんのかわいさにうれしくなってしまった。

三十歳までに結婚したかったテルヒコ。
どうやらふられた彼女を見返したいからなのだけど結婚の動機ってそんなことなのかも。
三股は許せないけれど彼女たちが求めるのは価値観を受け入れてくれるのほほんとしたやさしさだ。

指輪をはめないわたしだけど、指輪をはめたいって一時でも思ってくれたそんな稀有な人がかつていた。



名古屋の夜空は真央ちゃんの悲しみに包まれている。
あきらめていた皆既月食が雲の隙間から見えた。
華々しいはずの今夜の月は寂しげだ。