キサラギ以来の一年ぶりの映画デート。
映画館を出てニタ?と歩けるってうれしい。

いやなことは「ごめんね。」と避けちゃうわたしとは違ってこの映画の鈴子は困ったように笑いずるずると巻き込まれる。
苦虫顔うまいな。
その微妙さ加減がわたしは好き。

どうしようもなくなって最後には逃げ出す鈴子だけれどそこに至るまでの切なさや不器用さが愛しくてたまらなくなる。

自分のことを打ち明けるって言葉が足りないとむずかしい。
だからそれが伝わった時の安堵感、言わなくてもわかってくれるそんな関係をつい望んでしまう。

弟がいるお姉ちゃんに見てほしい。
姉弟って弟を守りたいと小さい頃から思っているけどいつのまにか守ってもらっていたのは姉であることに気づく。

「ごめんねって言ってるじゃん。」
そう母親に口答えするわたしを秘かに観察し
「姉ちゃん、ごめんとだけ言えば済むのに・・・。」
と帰宅が遅くてお説教をされているわたしにこそっと告げて去っていく。
なんて冷静な。
弟はその辺が実にさりげなかった。

いつのまにかわたしの背丈を追い越し結婚し家族のために働く弟が頼もしい。
小姑根性を見せないようにあえて距離をとっている。
離れているから離れているからこそ何も言わなくてもわかる。

年老いていく両親。
今はまだ元気だけどだんだんいざという時のことを考えるようになった。
きっと思い悩む前に行動してしまうわたしをあの頃のようにそっとフォロしてくれるだろう。

誰かと手をつないで風に吹かれて気ままに歩きたくなった。
最近手をつないで歩くのはかーくんと視力と足が弱く耳が遠くなった義父。
すり抜けそうな小さな手とごつごつした手。
どちらもマイペースだけどそのぬくもりで心がほっこりするんだからまあいいか。