中年女性。
あんなにかわいかった娘達はいつのまにか自立。
「女としては終わっている」という夫の心ない言葉。
専業主婦で体調の悪い自分を心配し寄り添ってくれるのは老犬。

そんな子供以上にかわいい犬が隣の子供をかみ殺す。
犬畜生といえども何の理由もなく襲ったのではない。
それまでにも勝手に庭に入り込んではおもちゃのピストルの標的にしたり棒っきれで殴ったり胡椒を鼻にふりかけたり妙なものを食べさせる。
脅えていたのは犬の方。
癇癪玉をぶつけられ驚いてパニックに陥った・・・。

それでも子供を殺した事にはかわりはない。
保健所で処分されそうになった犬をつれて逃避行する。

もちろん子供を殺された親の心情を思うと許せない。

自分の子供が、
罪を犯したとして、
あっさりと引き渡して
殺せる母親が
どこにいるだろう。


犬のたくましさと善意の狭間でわたしはゆれた。

そういえば昔「逃避行」という歌が流行っていた。

♪それがなきゃ いい人なのに
あきらめたわ 私ひとり
汽車に乗る


「女たちのジハード」はOLへの応援歌だった。
篠田節子の著書の中年女性は逃げたのではない。
守るもののために強くなっていくオバサンのお話だ。