月初めから渡さんの歌を何度か聞いた。
渡さんの詩って普通の言葉でぜんぜんよそ行きじゃないのにどうしてかっこいいんだろう。
自分の気持ちをありのまま語っている。
字数なんて気にしない。
ゆったりしたメロディー。

時にはその時代を風刺する。
皮肉っているわけでもないし褒めているわけでもない。
右でも左でもない。
ふらふらと真ん中を歩くあいまいなバランスが好きだ。

酔っ払って語る言葉はまるで吟遊詩人。
むきにならずにお気の召すまま行きましょか。

自転車にのって珈琲ブルースに立ち寄って三億事件や自衛隊をちょっとだけ茶化して系図を語り飄々としていた渡さん。

私の十代の頃の歌なのに色褪せていない。
今の混沌とした時代を渡さんならどう歌ったかな。

貴ノ花(二子山親方)が亡くなった。
昭和のヒーローがまたいなくなってしまった。
さみしい。