脱北者の現実は厳しい。
食糧難の国から逃れてもそこは就職難。
まともな仕事はないから危ないことに手を染める。
純粋な青年の孤独が痛い。
友を裏切り掴んだもの。
そして失ったもの・・・。
人は自分よりも弱いものを作ることで優越感を得る。
それが性なのだ。
疎まれたものはどうすればいいのだろう。
中学生の世界も大人の世界も変わらない。
心の痛みを知っているものはやさしい。
やさしいものは黙って寄り添う。
強くある必要はない。
きっと行き着く先があるはずだ。
ムサン日記~白い犬
晴歩雨読
今の仕事について三年目。
いつまでも新人ではいられなくなり、そうなると責任も出てくる。
ちょっとしたミスが大問題になる。
わたしのミスではなかったけれど、とりあえず謝った。
ただその謝罪に心がこもっていないと苦情がきたらしい。
心からではなく口先だけだと。
とりあえずがみえみえだったのだ。
「心を入れ替えて。」
上司からそんなお叱りを受けた。
最近はクレーマーも多い。
最初の一言が大事だということに改めて考えさせられた。
人間性を否定されたのではとちょっとショックだったけれど、仕事の姿勢を注意されたのだと思い直すのに一日かかった。
叱る方は大変だろうなと思う。
できれば誰だって叱りたくはないだろう。
もちろんわたしにも言い分があったけれどぐっと飲み込んだ。
言い訳を聞こうとしてくれただけで充分だと思ったから。
これで仕事がおもしろい!というサイトを見つけた。
お!わたし叱られ上手じゃんとちょっと嬉しかった。
同じミスをしなければいいのだ。
がむしゃらに頑張ればいいのだ。
ミスをしないようにと思っても絶対にしないとは言えないから恐れずがむしゃらに頑張ればいいのだと自分に言い聞かせる。
叱られ上手に謝り上手になりつつある。
新横浜のホテルで目覚めカーテンを開けると雨は上がっていた。
昨日傘に振り回されたことが嘘のように。
「今日は傘は必要ないね。」
それが誰からともなく出た第一声。
会計を済ませて傘と荷物を預ける。
北鎌倉で紫陽花を見たい。
それが旅のきっかけ。
改札で北鎌倉の電車を尋ねると親切に直通で行ける時刻を教えてくれた。
きっぷを買ってモーニングをあわてて食べる。
今日も昨日に続き歩きそうな予感にわくわくする。
北鎌倉で降りると前の電車の乗客もまだ改札を抜けきらないのかホームに人が溢れている。
休日の紫陽花の北鎌倉を覚悟はしていたもののきっとその価値を知っているから毎年大勢の人が訪れるのだろう。
ホームから出ないうちに次の電車もくる。
一つ目の東慶寺に立ち寄る。
庭がきれいだ。
様々な紫陽花が咲き菖蒲や岩タバコの花がみずみずしく迎えてくれる。
地面に落ちた星の形をした紫の小さな花をそっと拾って手のひらにのせる。
「わあ、かわいい。」
意味深にもこの縁切り寺(駆け込み寺)が好きと身体も心も感じている。
書道家のお友達のリクエストは雪堂美術館。
静寂が心地よくお庭を見ながらお抹茶を頂戴する。
池には真っ赤な鯉がいっぱい。
最初は金魚だと思っていたら昨年三百匹も生まれ人様にもらわれて二百五十匹になったそうだ。
お友達が棚にある赤い小さな起き上がり小法師に惹かれる。
「これって分けていただけるんですか。」
「売り物じゃないんですよ。
会津の郷土玩具なんです。」
転んでもまた起き上がるってわたしたちみたい。
もちろん転んでもただでは起きない。
細い目の笑顔が違っていてかわいい。
それでも名残惜しく残念がっていたら鎌倉の本覚寺のにぎり福のことを教えてもらう。
そして是非立ち寄ってみてくださいと長寿寺を教えてもらう。
三人の好奇心がどんどん繋がっていく。
かわいいを見つける一日になりそうだ。
まーちゃん