茶番と言われても美しい死を描きたかったのか。
関の孫六を手にした時からそれは決まっていたかのように。
ノーベル文学賞を逃してから川端や谷崎に勝るのは文学とは違う方法で世間をあっと言わせることだと。
三島に会いに行くと友人に話したら介添えの森田と血縁関係のお知り合いがいると言っていた。
そのせいかどうかARATA改め井浦新の美しい三島より満島ひかりちゃんの弟さんが演じる妙にがむしゃらな森田が気になった。
三島というカリスマに出会わなかったら学生時代は好奇心からいろいろ横道にそれたとしても平凡なサラリーマンになっただろう。
若松監督が追いかけるテーマは子供心にリアルタイムで知っている。
でもただ知っているだけで考えるには幼すぎた。
その分熱に浮かされることもなく冷めた世代かもしれない。
若松監督がその時代に寄り添うならわたしはそれを観る。
1970年万博の年、そして三島が自決した年。
実家に帰った時に学生の頃読んでいた太宰の文庫本を持って帰ってきたけれど字が小さすぎて読みづらい。
ただでさえわかりにくい三島も本棚にあったけれど全集なので重くてあきらめた。
せっかく三島に興味をもったのだからせめて「金閣寺」は新装版で読み直してみたい。
そして没後気丈に生きた瑤子さんのことを知りたい。
ボストン美術館に行った。
話題の蕭白の雲竜図を見てきた。
わたしには美術の価値はわからないけれどやっぱり面白いものが好きだ。
先日はお友達に招待券をもらったので中島潔を見てきた。
清水寺に奉納した鰯の大群は圧巻だった。
中島潔は18歳で再婚した父を嫌い出奔したらしい。
それをずっと恨んで絵を描き続けたそうだ。
中島潔の絵には母の名前からとった梅吉という犬が出てくる。
お知り合いのアドレスがumekitiだったことを思い出した。
今度会ったらプレゼントしようと小さな梅吉を買った。