2011年07月

ポトスライムの舟

どうして心地いいんだろう。
最後まで読んでもわからずに解説を読んで納得した。
「わたし」と一度も使っていない。
主人公はいるのにそれは学生時代に呼ばれていもはやニックネームであるカタカナの苗字。
それだけのことで微妙な距離が現れて上手いなあと思った。
芥川賞受賞作品の帯にひかれてよかった。

わたしも「わたし」と使わずにこのブログを書いてみたらどうなるだろうと思いながらももう使っているなあと苦笑してしまう。

163万円
それがその主人公であるナガセの年収。
工場のラインで働き、夜は友達のお店を手伝い、週末はパソコン教室の講師のバイト。
その値段が工場の壁に張られたNGOの世界一周の値段。
趣味はポトスを増やすこと。

この物語には女しか出てこない。
浮いた話もない。
どれが正解で勝ち負けもない。

そしてそれぞれの小さな願い。
奈良の興福寺には一言観音がいるそうだ。
なるだけ具体的なお願いをすると叶えてくれる観音様。

「月曜定休にできますように。」
「小学校へあがれますように。」
「先行チケットが取れますように。」
そしてナガセは家に帰ってから思いつく「工場の給料が二千円あがりますように。」

いいなあ、具体的な小さな願い。
奈良に行きたくなった。

大鹿村騒動記

 車椅子姿の原田さんを見て切なくなった。
そして訃報。

最後の口上「仇も恨みも是まで是まで」を観てきた。
ずるいよ原田さん。
あまりにもリアルで泣くなという方が無理。

でも奇跡の近所の爺さんも、昨年のNHKドラマの老作家も今回のテンガロンハットの善ちゃんも原田さんならではのおかしさの中の哀しみが溢れていて好きだった。

認知症になった人の気持ちは今の私にはわからない。
混乱の中の不安だけかと思ったらもしかしたらそれだけではないのかもしれない。
都合の悪いことを忘れてただ好きだという本能で塩辛のビンを万引きして追っかけることのできるタカコが哀しみの中のおかしさを希望としてみせてくれた。

気力を絞って車椅子姿を披露してまで伝えたかった大鹿村騒動記は1000円です。

県庁おもてなし課

この本を手に取ったのは三月末。
それから二三度繰り返し読んだ。
有川浩さん の印税で寄付をしたいという心意気を感じるにはそれが一番だと思ったからだ。
だったらせめて読書好きとしては本を読むことにつきる。

地方を元気にしたい。
その有川さんの気持ちが伝わってくる。
土地にこだわった物語が好き。
そこに行ってみたいと思わせてくれる。
もちろん地方は都会以上にままならない。
でもそのままならなさに共感してしまう。
恋も一緒。
歯がゆいぐらいの恋に応援したくなる。

自粛や節電はどうもだめ。
自らならいいけれどそれがブームになると反発したくなる。
バーゲンに弱いし、本も買いたい時期に陥っている。
経済効果も大事と有川さんの持論にのっかってみたものの来月の支払いがおそろしい。

やまとなでしこ

試合が始まった。
ゴールを脅かす白い巨人達。
なでしこブルーふんばれ~。

ドイツにはOLをしていたころの友達が嫁いでいる。
彼女も男前だった。
もしかしたら会場にいるかも。

気持ちってすごい。
緊張の糸。
その中で楽しんで闘っている彼女達がかっこいい。

前半終了。
鳥のさえずりが薄紫色の朝もやに響く。

F1000730

・・・・



ちょっとわたしもハーフタイムと思ったら蝉のけたたましさに目覚める。
夢?
現実?
金色の紙ふぶきの中でトロフィーを高くかかげたなでしこジャパンの満面の笑み。
あのなでしこ色の朝焼けは予感してたんだ。

なでしこジャパンありがとう。
希望をありがとう。

蜂蜜

音楽の無い映画をみた。
聞こえるのは鳥の声、風の音、歩くたびに揺れる鈴の音。
言葉はひそひそと。

睡魔と闘い続けたけれど面白かった。
詩だなあと思った。
光と影がスライドショーのようだった。

少年がかわいい。
宿題は忘れるし、バッチは欲しくてたまらない。
お友達に意地悪をする。
好き嫌いもあるしドジでもある。
それでも時々垣間見せる優しさ強さにキュンとなる。

ミルクと卵と蜂蜜と三部作の作品。
静かなスターウォーズみたいだ。
まりりん

まーちゃん

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