妹ミサは優等生。
ミサは授業である詩の意味を質問される。
三好達治の雪を久しぶりに読んだ。
いつの頃だったかは忘れたけれどこの詩をちゃんと覚えていた。
太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。
「人が言葉を発する理由は、もやもやしたものを感じているからです。
もやもやしたものが言葉より前に存在しています。
これが意味です。
もやもやに対する視点と、もやもやを伝えたい対象がいない限り、言葉は生まれません。
そこに言葉があるのなら意味もある。
言葉が連なれば、たとえそれが詩であっても、ある種のストーリーができあがる、と私は考えます。
二人きりの兄弟。
この二人を見下ろしているのは神様。
人は古代から、自分を超越した視点を求めてきました。
自分では決して獲得できないであろう視点。
眠る二人に等しく降る雪は、憧れの気象なのです。」
弟と二人姉弟のわたし。
それぞれに平等という葛藤はなかったように思う。
三人の子供達はどうだっただろうか。
山崎ナオコーラさんはこの詩をファンタジーの中に取り込んだ。
この世の中を住みづらいと感じる人たちへの応援歌。
わたしもわたしの中のもやもやを表現したいなあ。
それぞれに受け止めてもらえるような言葉で。