2007年06月

ヴァイブレータ

感情でなく本能でやさしい人・・・。
やわらかいものをやわらかくさわってくれる・・・。
なんて素敵なフレーズ。
邦画のよさはストレートに言葉が響く事。

わたしは人にすべてをさらけだしたことがたぶんない。
だから人の生々しい営みをありのまま演じる女優にひかれる。

寺島しのぶという女優は美人なのかブスなのかかわいいのか、めまぐるしく変化する。

玲はある夜にコンビニでトラック野郎に遭遇する。
その時突然ヴァイブレータが震える。
そして短い航海に出る。

旅は道連れ世は情け。
その航海から振り出しに戻った時「好き」という感情がこんなにも温かいものだったかを知る。

雪景色を走るタイガースカラーのFUSOのトラック。
流れるのは演歌ではなくはっぴーえんど。
師匠はきっとわたしにこのシーンを見せたかったに違いない。

初めてのトラックの運転。
左折する時に一度右にきってから円を描くように左にハンドルをきる。
なぜかそのことに感動してしまった。

切ない映画なのに見終わったあとわたしもいいものになれたように微笑んでいる。
もう一度わたしのヴァイブレータが振動する予感かも・・・。
原作が無性に読みたい。

デカばあちゃん

デカばあちゃんは55歳。
石川県の動物園にいる。
人間で言うと100歳を超えているという。

カバヤのキャンペーンガールとしてアフリカからやってきた。
その頃はカバコ。
どんどん体が大きくなるにつれデカと呼ばれ、最近はデカばあちゃん。

長寿の秘訣は一本もかけることのない歯でおからを一時間かけて食べる事。
体調を崩す事があっても自然治癒力を気長に待つ事。

10分20分が待てない心無い人がじっとしている彼女に石を投げる。
彼女の長い人生ならぬカバ生の中では一瞬なのに。

悠々、彼女にぴったりの言葉だ。
自分のペースで穏やかに生きている。
見習わなくっちゃ。

SONGS

「突然の贈りもの」わたしの大好きな歌。

わたしよりちょっと年上の大貫妙子。
日々の暮らしを大切にし、音楽に対する姿勢は丁寧だ。
洗練されたやわらかいおしゃれ。

彼女のうたにはわたしという言葉がよくでてくる。
誰かの受け売りでない確かな自信がみなぎる。
自分で見たものを自分の言葉で語る。

家に閉じこもってばかりではものが見えなくなる。
自分の足で風を感じなくちゃね。

六月が終わってしまう。
紫陽花はまだわたしを待っていてくれるかな。

ミツバチのささやき

河瀬監督が好きな映画とコメントしていた映画。
エリセ監督作品は詩情豊かな大地の色。

小さな村に巡回映画がやってくる。
映画「フランケンシュタイン」は本気にされませんようにと始まる。
フランケンシュタイン博士によって作られた怪物。
名もない醜い怪物はただ自分を受け入れて欲しいだけ。
女の子と水辺で花を浮かべ心が通じ合う・・・・。

「どうして殺したの?」
「映画の中の出来事は嘘。」

どうしてとしつこく聞く妹アナに姉イサベルは「わたしはアナよ。」と呼びかければいいと教える。
妹よりちょっと早く生まれただけで姉は現実を受け入れ大人にならなくてはいけない。
なんでも真に受ける妹が愛しくもありいたずら心からからかってみたい存在でもあるのだろう。

この映画は対比が面白い。
一つ一つのシーン、セリフに意味があり一瞬たりとも見逃せない。

エリセ監督が見出した二人の同じ年の少女。
役名を嫌がった強いまなざしのアナは女優として活躍する。
イサベルはこの映画だけで現実の世界に戻っていった。

ミツバチが巣箱から出ることすら知らないように母もまた人間嫌いさんに囚われていたのだろうか。
現実を知ることは怖い。
でもそれが生きていくこと。
師匠、宝物のような映画に出会えたことに感謝します。

県庁の星

原作ではもっとおばさん力がはじけていたのに映画ではビジュアルを重視するのねってずっとすねていました。
でもやっぱりスクリーン的にはこれで正解だったのかな。
スーパーにオバサンだったら日常とかわらないから。

この映画、社会保険庁の人に是非観てもらいたいです。
「善処」しますという言葉がどういうものか衝撃のラストでしたから。

先日わたしも思いもしない災難に遭遇したときもこの言葉を使われました。
善処するとは検討はしてみるけど実行するかどうかはわかりませんってことなんですね。

今回わたしに起きた出来事で今ちょっと自己嫌悪に陥っています。
心穏やかでないときの言動はどこか傲慢です。
言いたい事を言っちゃったけど言われた人の気持ちに添っていなかったです。
友達も同僚も私以上に心配し怒ってくれたのはわたしの痛みに気持ちに添ってくれたからなんですよね。
言葉では偉そうな事いくらでも言えます。
きっといつの日かわたしにも降りかかるかもわかりません。
その時はちゃんと行動できるかどうか。
今は謙虚な気持ちで出来事を振り返っています。

「素直に謝る、素直に教わる、そして何かを成し遂げるには仲間が必要である。」

映画での県庁さんはただ世間を知らなかっただけなんです。
経験に勝る知識はないってことですね。

織田裕二、偉そうで好きじゃないです(ごめんなさい)。
でも、ぴったりのはまり役があるって事も才能ですね。
まりりん

まーちゃん

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